ディープラーニングの多くはしかし民生用・サーバアプリがベースであり、それらは自動車に搭載する際に求められる機能安全やリアルタイム応答性、低消費電力などの厳しい制約下において、ほとんど期待した通りには動作しないという。ルネサスは今月21日、ADASや自動運転システム向け車載カメラ用SoC――R-Car V3H、R-Car V3Mのソフトウェア開発キット「R-Car SDK」の提供を開始した。
両SoCに最適化され、特別バージョンの統合開発環境e² studioが含まれた、同キットは、ルールベースのコンピュータビジョンと、ディープラーニング結果をサポートするように構築されている。シミュレーション基盤ではそれらのハードウェアアクセラレータを検証でき、リアルタイムで高精度な模擬実験を実現する。R-Carコンソーシアムのメンバ企業はこれを活用して自社のソリューションをユーザに展開できる。
新たなSDKは、サンプルソフト、CNNネットワーク、ワークショップ、アプリノートなども充実していて、R-Carプラットフォームを初めて使う人でも早期に開発を始められる。ルネサス製品のベンチマークにも最適なものであり、ターゲットアプリに最適なSoCを選択でき、自動インストーラによりすべての開発環境とソフトウェアライブラリをPC上で素早く起動でき、開発・設計したアプリは実環境でシームレスに動作確認できるという。
ウィニングコンビネーションを提案している同社は今後、ASIL-D準拠の各種OS(QNX®、eMCOS®、INTEGRITY®等)をサポートする予定だ。