巨大ダンプトラック×自動運行システムにより鉱山現場で無人散水

社会生活および産業に有用な金属など鉱物を鉱床から採掘する。鉱山の生産活動では、周辺環境への影響や現場の視界を妨げる粉塵が多く発生するため、人が操縦する運搬用ダンプトラックや積込機のほか、ダンプトラックベースの散水車が走行路で水を撒き、粉塵量を管理している――

有人散水車は、運転手が走行と散水を同時制御する必要があり、運転ミスによる事故が発生しやすい。散水量や散水箇所も運転手の判断に委ねられているため、同じ地点に繰り返し散水されてしまうなどの偏りが生じ、これが運搬用ダンプトラックのスリップ事故の原因になっているという。

コマツは今月13日、累計導入400台・累計総運搬量40億トンを誇る鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)において、大型オフロードダンプトラックHD785-7(積載量91トン、製品紹介PDF)をベースとした無人散水車を開発したと発表。同車両に無人散水を可能とするコンポーネントと、AHS上に新たに散水制御プログラムを組み込むことで、運搬用無人ダンプトラックと無人散水車の同時制御を可能にした。

無人散水車は、AHS(紹介動画YouTube)の従来機能により、走行経路に沿った安全な自動運行が可能。車速や走行コースに応じた最適な散水量の制御、散水履歴管理等を計画的に行うことで、スリップ事故原因となる過剰散水を防ぐ。さらに従来同様、最適な自動運転制御や鉱山内の他の無人ダンプトラック/走行路上の有人車両との協調制御を達成し、鉱山オペレーション全体の安全性と生産性の向上を実現する。

自動散水を可能とするこの度のしくみについて、鉱山の安全性と生産性を向上させる新ソリューションとして、22年市場導入を目指しているという。同社は、中期経営計画「DANTOTSU Value」における重点活動の一つとして、「最適化プラットフォームとソリューションビジネス戦略の進化」に取り組んでいる。