国内クラウド基盤サービス市場、ビジネスの調子はまだら模様

ネット経由でコンピュータ資源を利用する。「クラウド」は、インフラをサービス化したIaaS、プラットフォームをサービス化したPaaS、ほぼ改名に近いSaaS(ソフトウェアのサービス化)に分けられる。

今月7日、矢野経済研究所は、国内のクラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)について、市場規模推移と予測などを発表した。リモートワークの進展、変化に即応できるシステム環境の構築、動画・ECサイトのトラフィック急増によるオーケストリング機能への需要増加などにより、2020年の同サービス市場規模(事業者売上高ベース)は前年比123.2%の8,500億円になったという。

クラウド基盤サービス市場は今後も、DX投資の活発化、データ利活用、ハイブリッドクラウド環境の容易な構築、BCP(事業継続計画)意識の向上を背景として、順調に拡大していくと予測する。DXの推進やセキュリティ需要の増加によって、マネージドサービス市場が25年には7,850億円に達するだろう――成長市場では、「自社ビジネスも順調に成長している」事業者と、「期待ほどには成長していない」事業者とに二分される。

その要因はサービスメニューにあり、トータルでサービス提供できるかが、好不調の分かれ目になっている。新サービスを投入する事業者、新規参入事業者も増えていて、各社の共通点はマルチベンダ対応だが、多くはAWSAzureGCPへのスキルと知見で他社との差異化ができると考えている。

既存インフラのIaaS移行は一層増えていくだろう。昨年10月に第二期政府共通プラットフォームがAWS上で運用開始されることが発表されたが、公共分野におけるホワイトスペースは大きく、中央省庁等で他のクラウドサービスの導入も進む可能性は極めて大きいなどという。「2021クラウド・ITアウトソーシング市場の現状と展望」は、ここから、概要版が1000円で購入できる。