スーパーシティ構想、自然災害の危険を回避する新サービスを実証

どこまでも海氷の消えた北極海を白熊が泳いでいく。ドキュメンタリー映像に衝撃を受けた、気候変動によりホッキョクグマは2100年までに絶滅するとの論文まで発表された。近年、日本においては、全国各地で甚大な被害をもたらす自然災害が頻発している。

この気候変動をもたらしたものは人間だとされた(IPCC AR6/WG1報告書の政策決定者向け要約の概要:環境省PDF)。今世紀中に2℃超上昇する、継続的な地球温暖化は、世界全体の水循環を変え、各地での降水・乾燥現象を一層厳しいものにするだろう――。人間社会において、被害を少なくするためには、日頃からの防災・減災対策が必要となるが、災害発生前に避難行動を取ることができず、中には逃げ遅れてしまう人もいる。

逃げ遅れが生じる背景には、高齢者・要支援者への支援、移動手段の確保、避難に対する意識不足など、様々な課題があるという。東京海上日動東京海上ディーアールは、NECおよび福山コンサルタントと共同で、自然災害発生時の事前避難を支援する新たなサービスの実証実験を香川県高松市で、住民250名程度を対象に、台風や大雨による水災を想定し、9月~10月の一定期間実施する。

東京海上日動と福山コンサルタントは、NECを全体とりまとめ事業者とする「高松市スーパーシティ構想」に係る連携事業者として、同市における災害からの「逃げ遅れゼロ」を提案していて、今回の実証実験はその取り組みの一環となる。

自治体から自然災害に関する避難指示が発令された段階で住民へリアルタイムに連絡、発令数日後には避難費用(タクシー移動代やホテル宿泊代)を支払い、住民に危険が迫る前の避難行動を支援する。今回の実証実験を通じて得られた課題・データを基に、各社は、災害への備えや災害発生時の対応の在り方とデータ連携の仕組み作りを行うことで、強くしなやかな社会基盤の整備に貢献していく考えだ。