"薬局ヒヤリ・ハット事例"評価ベースのAIにて医薬品の安全利用へ

薬局でのヒヤリ・ハット事例は、令和元年度に約14.5万件報告されている。それらのうち、医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、「規格・剤形間違い」「薬剤取違え」「その他」「疑義照会」に関する事例を抽出して――

医薬品の物的要因に対する安全管理対策の要否について検討を行い、医薬品の製造販売業者等による対策の必要性の有無に応じて、安全管理対策を実施している。今月11日、エクサウィザーズ京都大学と共同で、評価機構による「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」の公表事例をPMDAが抽出評価した結果をもとに、医薬品の安全性に関するテキスト報告データを評価するAIを開発したことを発表した。

事例の内容や製剤の特性等に応じてPMDAが設定した安全対策要否の5段階評価を当該AIに行わせ、対策要とPMDAが評価した事例(評価1及び2)に対して、AIの分類が「見落としを最小化する」指標であるRecall96%であることを確認した。検証では、添付文書等の薬剤データベースにおける薬効情報や規制区分等の情報を反映することで、重篤な健康被害を伴いうる薬剤の情報を抽出及び評価する手法も活用している。

報告評価の効率化を支援し、医薬品の安全利用促進に寄与する。AIの活用により、対策が必要と考えられる事例の抽出プロセスを効率化することで、いずれPMDAにおける安全管理対策業務の効率化につながることが期待される。引き続き、今後数年での実用を目指して改善を進めていくという。同社は、医療・医薬品領域で自然言語処理技術を一層活用し、医療に関するさまざまな課題解決ができるAIソリューションの提供を予定している。

本開発は、令和2年度 厚生労働科学研究費補助金臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装事業(通番13)の採択をうけて「薬局ヒヤリ・ハット事例に対する安全管理対策評価に関するAI開発」として実施したものとのことだ。