これまでの手法ではしかし、細胞の状態の分類や、細胞膜・核のラベリング等にとどまっていて、細胞画像をもとに微細な構造の内部にあるタンパク質分子の局在を予測するといった試みがなされて来なかったという。
NAIST®先端科学技術研究科バイオサイエンス領域分子医学細胞生物学(末次研究室)の研究グループは、細胞の画像をもとに特定のタンパク質が細胞内に局在している様子を調べる方法として、目的の2つのタンパク質間に十分に機能的な相関関係がある場合、ディープラーニング(深層学習AI)を用いることで、一方のタンパク質からもう一方のタンパク質の局在状況が予測できることを初めて明らかにした。
深層学習の一種であるU-netモデルや、敵対的生成ネットワークGenerative adversarial network(GAN)をべースにしたpix2pixモデルに、タンパク質の染色画像を学習させた。そうして少なくとも機能的に関連のあるタンパク質同士では、ある一種類のタンパク質の染色画像から、他のタンパク質の染色画像を生成することができた。これを通して、コンピューターの深層学習によりタンパク質局在の推定が行えることを示した。
今回の手法は1つのタンパク質の局在から他のタンパク質の局在を予測できる。ゆえに今後、細胞画像をもとに複数の他タンパク質の局在がわかるようになり、未知のタンパク質分子間の相関関係の解明等に役立てられるだろうという。研究グループの成果は今月5日(現地時間)、スイスのオンライン科学誌「Frontiers in Cell and Developmental Biology」にて公開された。