ヒト型モバイルロボット等を用いたシステムにて運転行動を改善する

高齢ドライバによる交通事故が社会問題化し、安全運転を支援するシステム整備が喫緊の課題となっている。そこで本人の想定よりも心身機能が低下していることや、危険な運転行動への自己認識を促すこと、運転行動を客観的に評価し結果をフィードバックすること――

同乗者の存在により事故率が低下する同乗者効果を利用することなどについて、事故低減への効果を実証してきた。名古屋大学未来社会創造機構は、ドライバエージェントシステム(スマホとロボットとクラウドが連動しパートナーとして日常の安全運転・改善をサポートする)による運転支援の研究を進めていて、今月30日より、シャープポットスチルとともに、モバイル型ロボット「RoBoHoN」を活用した同システムによる運転行動改善効果を実証する。

名古屋大学COIの一部として実施される。今回の実証実験は、これまでの実証で得られた知見をベースに、同機構が実験計画を策定し、シャープがロボホン活用アプリを開発・配信し、ポットスチルが収集データを分析する。上記システムについて、公募選出した50名のロボホンオーナーに普段の運転時に使用してもらい、全国の公道で実地検証する。

注意喚起や運転行動への示唆などの「運転中の支援」に加え、運転後の運転評価などの「振り返り支援」を行うことで、運転者に危険な運転への気付きを与え安全運転を促し、運転者の行動変容効果を検証する。友人や配偶者よりも擬人化HMIからの指摘の方が受容されやすい(参照文献)――ロボホンを介すことで、上記システムによる運転評価やアドバイスの受容性が高まることを確認する。

ロボホンが同乗することで、音声ナビ機能などでは得られない同乗者効果のほか、ロボホンとオーナー間の関係性の強化なども期待されるという。3者は、より安全な運転を促す「運転支援ソリューション」の開発と実用化に取り組み、社会課題の解決に貢献していく構えだ。