医療機器修理センターで省電力広域無線にてCOVID-19を追跡

修理センターは製造工場と同様、完全テレワークにはできない。作業の内容によっては、近い距離での指導や相談等を要する。職場での感染症対策が万全でも、家庭内や通勤途上といった感染経路は排除できず、外部から持ち込まれたウイルスによってクラスターが発生するリスクを抱えている。

接触度合いを客観的に測れないところで感染者や濃厚接触者が確認されれば、記憶ベースの曖昧な情報で該当者を絞り込まざるを得ず、海外拠点ではライン全体を停止した。コロナ禍中でも「医療機器の修理サービスを止めない」ことをめざす、その顧客では、対象者の絞り込みを迅速かつ正確に行い、作業への影響を最小化するしくみの構築が喫緊の課題だったという。

マクニカネットワークスは、オリンパスへ、国内工場で初となる(マクニカネットワークス調べ)"感染症(COVID-19)対策追跡ソリューション"を提供したことを今月3日に発表した。同ソリューションは仏Actility社製の小型端末Micro Trackerを用いて接触状況をモニタリングするシステムだ。

その専用端末は省電力ブルートゥース(BLE)を活用した独自アルゴリズムを用いて互いの距離と接触時間を計測し、濃厚接触に該当する基準値を超えた状態を検出すると、LoRaWAN®回線を通してクラウドの集中管理アプリにアラートを送信する。同アプリでは全ての端末の接触アラート状態が表示、記録される。データは日時を遡って検索し、CSVファイルへの出力もできる。

同ソリューションを現在2つの修理センターで運用している。オリンパスでは、数百名の接触状況をモニタリングしている。業務開始時~業務終了時まで従業員の胸元にある上記端末は、作業の邪魔にならず、負担も少ない。実際に従業員で濃厚接触が疑われるケースが発生したとき、該当者の工場内での濃厚接触者を迅速に割り出すことができ、上記しくみの効果を確認できたという。