施工現場DX、改ざん不可能な出来形情報管理システムを実現する

ICT(情報通信技術)施工がさまざまに研究されている。昨今、現場でのICT活用が加速するなか、受注者が現場で収集する出来形計測データを発注者の監督・検査に活用するための技術基準類の整備が進められている。

計測データを出来形検査の根拠データとして直接利用できれば、実地検査の省略などが図れる。その前提として、計測データの信憑性を確実に担保できる仕組みが不可欠だという。清水建設は先頃、東京大学大学院工学系研究科とともに、建設生産プロセスの合理化を目的に共同開発した「ブロックチェーンを活用した出来形情報管理システム」の実用化に向けた研究開発に着手した。

保存情報に耐改ざん性を付与できるブロックチェーン(分散型台帳)に、施工現場で収集した出来形計測データを格納することで、当該データの信憑性を担保する。同システムを発注者の出来形検査に展開することで、受注者が提出した検査帳票の根拠データの改ざんの検証をシステム上で実施できるようになり、検査プロセスの合理化を実現できる。その第一弾として、ICT活用が進む土工事の出来形検査を対象にしたシステムを構築する。

今年11月にも実現場での試行を開始する。システム基盤はブロックチェーンとデータストレージ、入力値のハッシュ値生成プログラム。出来形計測データをシステムに保存すると、入力データに紐づいたハッシュ値が生成され、ブロックチェーンに記録される。ブロックチェーン上の情報は改ざんができないため、検査時に検査対象データのハッシュ値を再取得し、ブロックチェーン上のハッシュ値と比較することで改ざんの有無を確認できる。

システムの実用化に向けた研究開発では、土工事の出来形確認に利用する点群情報の信憑性を担保するシステムの構築に取り組む。点群情報と設計情報から施工誤差を判定するための解析・閲覧技術も新たに開発し、建設生産プロセスの生産性向上につなげていく考えだという。