量子コンピュータにて交差点の流れを解析、交通渋滞の解消へ

数学的モデルで自動計算を行う、チューリングマシンの系譜を引くものではスーパーコンピュータでさえ性能向上に限界が見えている。昨今、量子力学を応用した超高速の並列計算機――量子コンピュータが、様々な社会的問題を短時間で解く次世代の仕組みとして注目されている。

今月21日、NECソリューションイノベータは、川崎市の協力の下、同市が提供する交通渋滞や交通事故等の課題解決に向けた実証フィールドにおいて、量子コンピュータを利用して交通流計測カメラから得られるカメラ画像を解析することによる交通流計測技術の開発・評価のために、8月10日~来年3月31日、鋼管通り交差点(産業道路・市電通り、川崎区浜町)に交通流計測カメラを設置し、実証実験を行うとした。

上記交差点へ4台の交通流計測カメラを設置し、同交差点を出入りする車両をカメラ映像で撮影して、AIや量子コンピュータを活用することで、各車両の速度や移動経路を把握するための技術開発・評価を行う。その中で、各車両の前記情報を場所・方向・時間毎に統計化し、それらのデータ(個人もしくは車両の特定が可能な情報を除く)を川崎市ならびにNECグループ会社と共有、もしくは学会で発表等を行う。

今回の実証実験で取得されるカメラ画像は、個人情報保護及びプライバシーに配慮して(個人情報の取扱い等参照資料:「交通流計測カメラの設置・運用要領(基準)」)人・車両のナンバープレートの映り込みが最小限になるよう工夫する。カメラ画像のデータの取得・保管・利用では適切な管理をする。

そうして、渋滞原因や効果的な渋滞解消対策を検討・評価することを想定している。同社は、将来的には、複数の交差点における交通流把握や、各車両の誘導による交通流の最適化等を実現する。渋滞が解消されることで、より効率的な移動や時間節約の実現、資源の有効利用、大気汚染減少(CO2排出削減)等が期待されるという。