電波で動くRFIDタグにて室内環境をセンシング

センシングとは人および動物の感覚器官のように周囲や対象の情報を収集することであり、建物等におけるセンシングシステムには、有線式が用いられることが一般的であった。有線式の場合、配線の都合によりセンサの設置場所が壁や天井に限られる。

居住域内の快適性確保に要する室内環境データを十分に収集できない。そのため市場では、電波などを利用した無線式センシングシステムの開発が進められているが、無線式センサの電源は電池が必要なタイプが主流であり、電池交換などの維持管理に手間がかかるのが現状だという。竹中工務店日本IBMマスプロ電工NTT Comは、RFIDタグによる室内環境センシングシステムを共同開発し、横浜市役所NOK本社ビルに導入した。

RFID(無線周波数識別)タグを内蔵し温度センサ等を組み合わせた環境センサを、付近のアンテナからの電波で起電(同タグが受信波を電気エネルギーに変換)させ、データを送受信し、効率的な室内環境データの収集を可能とする。センサの電池レス化が可能な同システムは、維持管理が容易、1台ずつのアンテナ起動で電波干渉を抑制、データの送信にも受信にも使えるアンテナにより拡張性が高い、といった特徴を備えている。

アンテナの電波(920MHz帯)が届く範囲においては複数データを同時に読み取れ、移動しているRFIDタグの読み取りも可能であることから、室内環境データや人の在不在データなどを効率的に集められるという。

竹中工務店は3社と協力し、同システムの展開を進め、収集したビッグデータを用いた新しい設備制御の在り方を創出し、さらなる省エネルギー性、快適性、知的生産性の向上に活用する。そのうえ、人の在不在データから人流を把握し、コロナ禍で社会的ニーズとなりつつある新しいワークプレイスの提案などと合わせ、持続可能な脱炭素社会、そしてSociety5.0の実現に寄与していく考えだ。