建築物や建設現場の"音"を見える化、様々な調査・探査に活かす

建物の遮音性、空間の音響、工事中の騒音など、建設現場には調べるべき音および音波の存在するスペースがたくさんある。音場情報の詳細な計測・評価を行うには、多大な時間と労力を要する。そのうえ、これまでの音の可視化技術では――

計測結果がディスプレイ上で平面的に表示されるため、計測断面の位置情報が把握しにくい。従来技術には課題があったという。飛島建設は、早稲田大学基幹理工学部表現工学科及川靖広教授と共同で、マイクロホンアレイ(16個のマイクロホン)で収録し演算ユニットに転送した音の計測結果を、実空間上にリアルタイム投影する音響可視化システム「OTOMIRU」を開発した。

音圧レベル分布が即時出力され、突発的に発生する音源も見える化するビームフォーミングを用いた、同システムは、光学透過型ヘッドマウントディスプレイ(OST-HMD)を介して、音の情報をカラーマップとして実空間上に重ね合わせることにより、奥行方向の計測位置が把握しやすい形で音を可視化できる。複数人での計測結果の共有、自由な場所での音の評価、ハンズフリー計測をも可能とする。

建築物における遮音欠損部の探査、建築空間の音響状態の調査、複数の重機が稼働する建設工事現場での騒音源探査、騒音発生施設の漏音部位の探査、騒音対策効果の検証といった適用例が示されている。同システムではマイクロホンアレイを設置するだけで音の分布が可視化できるため、計測の効率化・省力化につながる。音の物理的な評価と視覚による評価を同時に行え、より迅速な対策立案と効果の検証も可能になる。

建設工事現場での騒音調査および対策検討や、建築物内部での音響設計で試験運用を重ね、システムの性能アップを図っていく予定だという。同社は、「OTOMIRU」をベースとして、3次元的な音の情報(音の伝搬状況)をリアルタイムに計測し、実空間に投影する技術の開発を進めていく構えだ。