建設業務DX、現場の伐採木をAIにて自動判定・調書作成まで効率化

電力会社からの依頼を受けて山岳地で搬入路の設置や鉄塔建設等を行っている。業務対象エリアに生えていて、いずれ不要となる樹木を伐採する際には、地主への補償や伐採に掛かる費用算定のために、人手によって、木の胸高直径を測り、樹種と位置情報を記録し、調書を作成している。

定規を用いて1本ずつ胸高直径を採寸し、目視で樹木種を判別し、手入力にて位置情報を記録し、それらをまとめて調書を作成する。一連の調査業務において、これまで年間21,100本の木の伐採調査に780時間を要した建設現場において、作業者の高齢化といった背景もあり、作業工数の削減が求められていたという。

日本リーテックと、富士通クラウドテクノロジーズは今月12日、伐採木の胸高直径算出と樹種の判定をAI(人工知能)が自動で行い、調書作成までをオートマティックにするアプリ開発の実証実験を開始した。これにより、人手にて採寸を行い、手入力により調書を作成していた作業が自動化される。大幅な工数削減が達成される。

スマホアプリを用いて、胸高直径の算出、樹種の判定、位置情報の記録を行い、別途開発したWEB管理画面上にて調書作成を行う。同アプリで撮影すると、木の胸高直径算出と、ディープラーニング(深層学習)による樹種判定が行われる。位置情報はスマホのGPS機能を用いて記録される。集めた画像については、上記管理画面にて必要なものを選択する。調書作成までの効率化が実現する。

責任者、測量者、採寸・樹木判定者、記録者の計4人で行っていた業務が、責任者とアプリ操作者だけで行えるようになる。調書作成業務も含めると75%の工数削減が見込める。対談形式のウェビナー「建設業におけるDXの実践例」でも紹介される、今回実証中の仕組みは22年度より現場展開していく予定だという。富士通クラウドテクノロジーズは、建設業界のDX実現と社会課題の解決に取り組んでいく構えだ。