臨場感あふれる立体動画を双方向にリアルタイム配信する

コロナ禍で人の心を豊かにする演劇や音楽、スポーツなど、大勢が集まるイベントの実地開催が困難になっている。その代替手段として、ライブ配信への需要が高まるとともに、より臨場感や実在感を伴った映像体験を可能にする技術として、ボリュメトリック(容積測定の)ビデオが脚光を浴びつつある。

物理空間を丸ごと3D映像として記録したボリュメトリックビデオは、スマホやARグラスを介して任意のアングルから、あるいは当該空間や人や物事を別の場所でVRゴーグルに再現して、鑑賞できる。5GやVR/AR技術の普及とともに、エンタテインメントだけでなく、バーチャル空間での接客や、遠隔地にいる友人との会話シーンなどにおける次世代コミュニケーションインターフェースとしても活用されていくことが期待されているという。

博報堂DYホールディングスと米国Holotch社は、物理的に離れた空間にてボリュメトリックビデオをリアルタイムに双方向で配信する実験を実施した。同実験は持ち運び可能な機材を用いたボリュメトリックビデオの撮影、リアルタイム配信における現状の技術・運用課題を明らかにすることを目的にしたもので、博報堂運営「UNIVERSITY of CREATIVITY」の新しい次元の感動体験を探究する活動と連携して行われた。

今回、能がもつ身体性やAR/VRとの融合を探究するプロジェクト「NOH&」(安田登氏主宰)の協力の元、約9.5メートル離れた2つの舞台にそれぞれ立った能演者のボリュメトリックビデオをリアルタイムに相互のステージに配信し、客がスマホやXRグラスを介して1つの能舞台を鑑賞できる、実験的な体験を構築した。結果、ボリュメトリックビデオ活用を通じた新たな体験創造の可能性も示唆されたという。

博報堂DYホールディングスは、今後もボリュメトリックビデオの活用を通じた生活者の次世代体験創出に向けた研究を進めていく構えだ。