複数の圃場からなる広大な耕作エリアを抱えると、エリアごとの条件差を踏まえたきめ細やかな栽培管理が難しくなる。この難しさはエリアごとの生育状況のばらつき、不安定な生産の恐れに通ずる。生産のばらつきや天候不良の影響を吸収し、取引先の要求量を満たす収穫量を確保するためには、恒常的に余剰生産を行う必要が生じる。そうしそうすれば、SDG指標12にも関係する、大量の廃棄ロスを生みだすことになりかねない。
それらの問題の解決にあたっては、定期的に圃場全体の生育状況を分析することが不可欠だが、既存の分析手法では高額な装置の利用が求められる。農家にとって、安価な分析手法の確立は必須だという。NTT西日本グループは今年6月~来年3月、愛媛大学および青空とともに、生産性向上・収益改善をめざす地域農業において、「生産の安定化」と「廃棄ロス抑止」に向けた共同実証実験を行う。
愛媛大学独自の葉緑素推定アルゴリズムを用いる圃場分析技術(特許出願中)、同グループのドローン・ソリューションとクラウド基盤を活用し、青空の圃場(岡山県真庭市)にてレタスの生育状況を空撮し、分析・可視化する仕組みを構築する。可視化された生育状況に基づき、必要箇所に必要な量の施肥(可変施肥)を行い、レタスの生育・品質のばらつきを抑制する。
上記分析データと青空の野菜栽培ノウハウを活用し、収益性に優れた営農手法の確立もめざす。そして、レタスの生育状況、天候データとこれまでの経験的な知見から収穫可能時期や収量を予測する。余剰分の販売先を事前かつ早期に確保し、廃棄せず収入源に転換していく仕組みを構築するという。