美術館・博物館の収蔵品管理業務をデジタルトランスフォーメーション

近ごろ美術館や博物館においては、収蔵庫に資料があふれて必要な資料整理が進まない。一人の学芸員が様々な業務を担っている。情報管理の負荷が増加中であるなど、旧来のしくみでは、学芸員の人手不足に起因する悩みや課題が多く挙げられていた。

さらに新型コロナウイルス禍中にある今、美術館や博物館を取り巻く環境は大きく変化している。たとえば、利用者が展覧会に行きたいと思っても事前予約が必要になる、入場制限が実施され鑑賞の機会が減るなど、利便性が損なわれる状況が発生している。そのため、ポストコロナ時代に向けて、デジタル技術を活用した新たな鑑賞方法への早期シフトなどが必要不可欠になっているという。

日本通運富士通は、美術館や博物館の収蔵品デジタルアーカイブを一括サポートする新たなサービス「SmartMuse」を共同開発した。収蔵品を5つの要素――データ管理、収蔵庫整理、輸送・保管、データ入力代行、デジタル化――で総合的に支援する、同サービスは今月1日より、日本通運が首都圏エリアで販売し、その後段階的に全国展開する予定だという。

両社が企画・開発した「SmartMuse」は、日本通運が提供していた美術品の梱包・輸送・保管業務サービスに人的支援サービスを追加し、富士通Japanの収蔵品管理・公開システム「FUJITSU 文教ソリューション Musetheque デジタルアーカイブクラウド」を組み合わせたものであり、収蔵品や収蔵品データの一括管理を実現し、整理から管理までをワンストップで提供する。

新サービスでは、収蔵品管理に関する上記5つのタスクを日本通運が代行することで、学芸員たちが日々行っている管理業務の負荷軽減に貢献することを目指す。そのうえ、日本通運のノウハウと富士通のデジタル技術により、美術館や博物館のDXを推進し、新たな鑑賞方法の充実など、美術館や博物館の可能性を広げていく考えだ。