医薬品や生鮮食品の安全性を長時間にわたって保つには、輸送時の温度や振動を継続的に管理していく必要があるものの、従来技術ではコストや利便性に課題があったという。パイクリスタルは、三井不動産の協力下、本邦初の有機半導体フィルムデバイスを用いた長距離物流における温度・振動観測の実証実験を柏の葉スマートシティにて実施した。
これにより、複数の情報を1つの薄型・軽量フィルムデバイスに搭載し、データを継続的に取得するとともに、取得データをクラウドで共有できる「トレースシステム」開発を達成したことになるという。今回、三崎漁港(三浦活魚流通センター)→柏市公設市場→柏の葉スマートシティ内飲食店の約120kmで、魚の切り身の真空パック内への温度トレースタグ封入による魚自体の温度計測を実施し、0-5℃を常時保って輸送されていることを確認した。
振動センサを搭載したフィルム状トレースタグを開発し、パイクリスタル大阪分室(大阪府茨木市)→柏分室(千葉県柏市)の約550kmにて輸送時の振動計測を行った。結果、運搬中の状態を推測するのに有用な荷物が受けている振動のデータを取得することができた。
同システムにより、長距離物流過程の温度や荷物にかかる振動のデータを継続的に観測し、コロナワクチンをはじめとする医療分野や薬品輸送のGDPへの対応、生鮮食品のHACCP・ISO22000対応など、今後一層強化すべき物流品質の保証や改善の提案に向けた、有益なデータの供給が可能となる。さらに化学品や海外物流といった様々な分野において安心・安全な物流サービスを実現するという。