情報通信
超スマート社会づくりに寄与するスパコン世界最高峰を継続
科学技術計算に用いるスーパーコンピュータ、HPC（ハイパフォーマンスコンピューティング）基盤の性能および進化が、各種産業と社会に与える良い影響はとても大きい。交通、物流、気象や宇宙のシミュレーション、災害予測、COVID-19治療薬となる物質の探索などにも、スパコンが不可欠である。
そこで理研と富士通が共同開発し、今年3月より共用されているスーパーコンピュータ「富岳」は、世界のスパコン性能「TOP500」リストの第57版"JUNE2021"で世界第1位を獲得、3期連続1位に輝いた。同リストは行列計算による連立一次方程式の解法プログラムLINPACKのベンチマーク表であり、多くの科学技術計算や産業アプリで使われる、倍精度浮動小数点数の演算能力を測った各コンピュータが計算速度でランキングされている。
同ベンチマークで高いスコアを出すためには、大規模演算評価テストを長時間実施する必要があり、高得点はすなわち計算能力と信頼性を総合的に示すものだといわれている。「富岳」はまた、産業等で実用的な共役勾配法（連立一次方程式を解く反復計算法）の処理速度ランキング「HPCG」、さらにAIの深層学習で主に用いられる単精度や半精度演算処理に関するベンチマーク「HPL-AI」においても、それぞれ3期連続の世界第1位を獲得した。
これら3部門における3期連続の第1位獲得は、「富岳」の総合的な性能の高さを示すものであり、新たな価値を生み出す超スマート社会の実現を目指すSociety5.0において、シミュレーションによる社会的課題の解決やAI開発およびデータの利活用に関する技術開発を加速するための情報基盤技術の役割を「富岳」が十分に発揮できることを実証するものだという。
米国のスパコン「Summit」を2位に押しとどめた。「富岳」のランキングは6月28日、HPCの国際会議「ISC2021」にて発表された。