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世界最高峰のスパコンから、シミュレーション技術を商用アプリへ
富士通は昨年11月~今年5月、スパコン「富岳」上で、流体解析などのシミュレーション向け商用アプリを用いて、大規模かつ高精細な解析が高速に行えることをアプリベンダー各社と協働実証した。そして6月、「富岳」および「富岳」の技術を活用した「PRIMEHPC」シリーズ向けに、新たに製造業の顧客ニーズが高い商用アプリについて、各社と動作検証や性能チューニングを実施――当月より各社から提供予定であるとした。
"航空機の安全性向上"では、19万2千CPUコアを活用して熱流体解析アプリ「Cradle CFD | scFLOW」を並列実行し、2億3700万要素の高精細モデルを、細かな渦が表現可能な解析手法LESで解析。翼の表面上の圧力振動や細かい渦が生成される現象を、従来手法RANSよりも詳細に観測できるようになった。バフェット(機体振動現象)を考慮した航空機の安全設計につながる大規模解析ができることを実証した。
"自動車などのエンジンのエネルギー効率向上"では、内燃機関における一連の化学反応を考慮した燃焼解析を、熱流体解析アプリ「CONVERGE」を使った並列計算により2時間で行えることを確認。しわ状化した火炎構造を示す高精度な結果が得られた。また、"電気自動車などの駆動用モーターのエネルギー損失低減"では、IPMモーターの高精度な損失計算を電磁界解析アプリ「JMAG」にて検証。従来数週間かかる計算が1日で出来た。
自動車の衝突安全性向上などのために広く利用されている構造解析アプリ「LS-DYNA」も含め、8つの商用アプリが順次提供されていくという。