脱炭素社会の実現に向け、データセンターに液浸冷却装置を活用

ICT(情報通信技術)システムが集積されていて、膨大かつ多様なデータを保管・処理・配信などする。データセンター(DC)は、現代の生活や文化を支える社会インフラの一つであり、その重要性は今後さらに増大することが予想される。

昨今、クラウドの普及とともにサーバー追加/DC増設の需要が高まっていて、サーバーを冷却するための消費電力量を抑制し、環境に与える影響を最小限に留めることが重要な課題になっている。そこで昨夏台湾にて、冷却媒体に液体を利用した液浸冷却技術でIT機器を高効率に冷やす検証や、20フィート(ft)コンテナにDCを収容する検証を行ったという。

KDDIと、三菱重工NECネッツエスアイは、地球環境保全を目的とした消費電力削減および脱炭素化の取り組みとして、液体でサーバーを冷却する液浸冷却装置を活用――それらをコンテナに収容した小型DCの実現と、日本国内での22年度社会実装をめざす、実証実験を今月21日に開始した。

今回、3社がそれぞれの強みを持ち寄り、50kVa相当のサーバーと液浸冷却装置を12ftコンテナに収容し、十分な冷却性能を発揮しながらも、業界最小水準であるPUE1.1以下のエネルギー効率を目指す。これにより、データセンターとしての消費電力は約35%の削減(vs.PUE1.7のDC)が見込まれ、電力を大量に消費するDCの課題に応えると同時に、二酸化炭素の排出抑制が期待できる。

置き場の選択肢が増え、設置環境や条件を大きく緩和し、設置が容易なDCを実現することで、既存DCの処理を補完し、高速かつ遅延の少ないデータ処理を可能にする。高性能で高密度に実装された冷却機構は、より大型のDCにもサーバー実装数増やエネルギー消費量減といったソリューションを提供できるという。3社は、本邦のデジタルトランスフォーメンション(DX)の発展、脱炭素化および地球環境保全に貢献していく構えだ。