ORiN×5Gにて多様な産業用ロボットを遠隔操作

製造工場では複数メーカーの機器が働いている。それらを統合的に制御・監視するには、各機器に対応したソフトウェアを要し、コスト増が懸念される。今日、工場内の機器同士を接続するプロトコルごとに大量のケーブルが敷設されていて、設置位置の柔軟な変更ができないといった課題もあるという。

ヤマハ発動機NTTドコモデンソーウェーブカワダロボティクスオフィスエフエイ・コムORiN協議会は、高速通信規格「5G」を活用し、複数メーカーの産業用ロボットを統合的に遠隔操作する実証実験に成功した。この実証には、異なるメーカーの産業機器を規格の壁を越えて統合するミドルウェアの「ORiN」と、「クラウドダイレクト®」を活用――。ドコモ5Gを活用した産業用ロボットの遠隔操作の達成は日本初だという。

3月4日~4月7日にドコモオープンイノベーションラボ四ツ谷にて、「ORiN」を介して、ヤマハ発動機製スカラロボットと、カワダロボティクス製ヒト型ロボットを接続――。操作者の入力デバイスからの信号を「ORiN」で変換し、5Gを経由して遠隔側の両ロボットを、操作者が高精細映像を見ながら操った。

異機種であっても、「ORiN」を介することでメーカーの仕様の差分を吸収し、統合的に接続できることが確認できた。5Gを使用することで、現場の4K映像を即時ロボット操作者のディスプレイに表示できること、操作者のロボットへの入力信号を適時反映できることも確かめられた。操作者の違和感を軽減し、円滑な操作を実現した。

今回構築した仕組みを採用すれば、リモート環境でもORiN経由で異なるメーカーの機器同士を汎用的な言語で接続し、通信をワイヤレス化して柔軟なレイアウト変更を実現できる。今後、ロボットをはじめとした多様な機器が5G接続されることで、工場内のレイアウトフリーの実現や、各工場の設備連携など、さらなる発展が期待されるという。