不測の事態に強い、レジリエントで効率的な電力系統の運用に向けて

多種多様な設備が複雑に絡み合って構成される大規模システムである。電力系統は、電気事業者の送配電設備をはじめ、自家発電設備をプラントや大規模施設内に持つ企業等において、外部からの送配電系統と自社内の発電・受電系統を組み合わせることで、安定稼働が維持されている。

電力系統に、自然災害や設備運用変更などに因る異常事態が発生すると、設備の故障や停電に進展する恐れがある。カーボンニュートラルの実現に向けて再エネ導入が活発化すれば、電力系統管理が一層複雑になることが予想される。今日、電力設備を安定的かつ効率的に運用するためには、電力系統の事前評価を実施することが重要――だがそのためには、高度な専門知識とノウハウが必要である。

特に異常な電気現象を予見するためには、適切な解析ツールを選定し、かつ短時間でシミュレーションモデルを作成し、その結果を評価することが求められるという。日立は今月16日、電気事業者や自家発電設備を置いたプラント・大規模施設などを持つ顧客に向け、電力系統で発生する問題点や事象をシミュレーションし、対応・予防・保全施策を提案する、「電力系統解析サービス」の提供を開始した。

同サービスは、電力系統内の電気設備の仕様や特性、需要家サイドの契約電力など、多岐にわたる詳細なデータを収集して精度を高めた解析モデルと、各電気設備や機器の稼働状況を踏まえたシミュレーションに基づいて事前評価を行い、その評価結果をフィードバックする。顧客が事故や現象の影響を予見して対策を立てることを支援する。具体的な運用改善・設備増強策などの検討~提案、施策導入までワンストップで対応する。

これにより、発電・変電・送電・配電・需要家などの設備で起こり得るリスクを予測できる。電力の安定供給を支援するという。同社は、自然現象などに起因するアクシデントに対して強く、効率的な電力系統運用の実現に貢献していく構えだ。