月面における循環型再エネシステムを具現化する

国際宇宙探査の大きな流れは月、火星、そして深宇宙に集約される。人類の活動領域を月、さらには火星へと拡大するためには、持続的かつ実現可能な宇宙探査の計画が重要である。2000年代初頭から、米国をはじめとした国際協力による有人宇宙探査計画の検討が開始され――

第2回国際宇宙探査フォーラム(ISEF2)ではサステイナブル探査の重要性が確認され、国際宇宙探査協働グループ(ISECG)では、国際協調による宇宙探査に向けたロードマップ検討が進められている。2030年代の有人火星着陸をめざす米国「アルテミス計画」への参画を決めた日本では現在、国際協力による月探査関連プロジェクトが目白押しである(参考資料:内閣府)。

宇宙での生活には水と食料のほかにも、呼吸のための酸素、燃料となる水素、諸活動のための電気が必要である。それらを宇宙で入手するためには、太陽エネルギーで2H2Oを電気分解してH2・O2を製造する高圧水電解システムと、O2・H2から電気及び水を発生させる燃料電池システムとを組み合わせた「循環型再生エネルギーシステム」を構築することが解決策の一つとなる。

人が長期間にわたって宇宙で滞在・活動するための環境構築を目指し、有人拠点や移動用車両に供給するための循環型再生エネシステムに関する共同研究を行っている、JAXAHondaは今月14日、同システムの実現性検討を開始すると発表した。両者は昨年11月に3年間の協定を結び、後者が有する高圧水電解技術及び燃料電池技術を活用――、月周回有人拠点(Gateway)および月面での同システムに関する研究を進めている。

21年度は、昨年度の研究において識別した循環型再生エネルギーシステムの要素技術に関する課題に対し、試作による評価も行いながら実現性の検討を実施する。そしてその結果は来年度に計画しているシステムとしての成立性の検討へつなげていく予定だという。