安全衛生DX、AIを用いたしくみで作業員の安全確保を支援する

作業現場での墜落・転落による死傷災害が年間21,221件あった。平成30年に厚生労働省は労働安全衛生法を改正し、翌年2月1日の施行から安全基準を厳格化。高所作業において使用される「安全帯」の規格は原則としてフルハーネス型とされた。

上記労働災害発生状況規格が同省Webに開示されている。現在、作業現場において労働災害を防止し、安全管理水準の向上を実現することは、企業にとって重要な課題となっている。さらに、コロナ禍で生まれた新常態では、現場での「密」を避けるため、人同士の接触が制限される――作業員への安全指導が困難になっているという。

日立ソリューションズは、画像認識AI技術を活用し、作業員の安全装備や危険行動などを自動検知する"安全衛生管理のしくみ"を15日に発売。カメラ映像から各シーンを判定するそれは、ヘルメット・マスク・ハーネス等の未装着、歩きスマホやポケットに手を入れたまま歩く動作など、予めAIが学習した不安全行動を適時に自動検知し、管理者に通知する。一定時間、危険な状況が続いた場合にメールやパトランプで通知することもできる。

企業特有の装備品や不安全行動をAIに追加学習させることも可能なため、企業の規則に合わせた安全管理を推進できる。工場や建設現場などでの実証実験では、600件の画像をAIに学習させ、安全装備や不安全行動を検知(正答率93%以上。精度向上可)することを確認した。

「画像認識AI技術により、安全装備や安全行動の遠隔監視と省力化を実現」「特定の安全装備品と不安全行動を事前学習したAIによって、早期に利用可能」といった特長を備えた。しくみの導入によりユーザーは安全管理を遠隔・迅速かつ適切に行えるという。同社はこれを「労働安全衛生トータルソリューション」のラインアップに追加し、企業の安全管理を支援することで、安全で安心して働ける職場環境づくりに貢献していく構えだ。