スマート農業DX、リアルタイムのリモート栽培指導に向けて

ロボティクスやICT(情報通信技術)を駆使して、農業の省力化や高品質生産をめざす。各地でスマート農業への転換が研究されている昨今、園芸の礎である栽培技術を有する人が不足しているうえに、既存の仕組みでは即応できず、コロナ禍により訪問が制限されるといった課題にも直面している。

施設園芸生産者向けに現地訪問による栽培指導を行っている。高度施設園芸推進室では、その補完手段として、環境や生育調査データを電子メールやSNS等で受け取り、遠隔での助言や支援を実施している――が、実際の作物状態や圃場の状況などを考慮したリアルタイムな情報共有ができず、栽培技術者の不足によりすべての要望に応えられていない。コロナ禍の影響もあり、リモート栽培指導を早急に拡充する必要があると考えている。

他方、地域社会の一員として一次産業の課題解決をめざす取り組みを進める中「担い手不足への対処」「新規就農者支援」「データを活用した儲かる農業の実現」への期待が高まっていることから、これらに応える手段として、ICTや自社アセットを活用し、限られた栽培技術者の活躍の場を広げる遠隔栽培指導の取り組みについて検討を進めていたところだという。

JA全農NTT東日本は今秋、施設園芸生産者に向けたリアルタイム遠隔栽培指導の実証を開始する。各種スマートデバイスを用いて、圃場の映像、音声、環境や生育調査データを生産者と共有する遠隔栽培指導センタ(コックピット)をNTT中央研修センタ内に共同で整備し、NTTアグリテクノロジーと連携して実証を進めていく。

コックピットを活用して「生産現場とリアルタイムに情報を共有」し、「実訪問と近い精度」で、「コロナ禍においても安心、安全」に遠隔栽培指導を可能にし、より多くの生産者の要望に応えることをめざす。新たな仕組みを、全農グリーンリソースの施設園芸栽培コンサルサービスとして展開することも検討するという。