ものづくりDX、5G×AIで作業を可視化しスマート工場を実証

生産性アップを図るには、各種作業を見える化して分析する必要がある。人手でそれをすれば労力と人財を費やすことになるうえに、実態把握までに時間がかかる。そこでDX(デジタルトランスフォーメーション)、情報通信技術を活用して工場の生産性を向上させる取り組みを進めているという。

住友電工ソフトバンクは一昨年末にスマート工場の実現に向けた取り組み実施で合意(プレスリリース)。そして今月9日、高速大容量を特長とする5Gによる映像伝送と、AI映像解析により、作業を自動的かつ即座に可視化――実証実験の結果、作業の分類や時間集計にかかっていた人的資源を削減できたほか、作業遅延因子を特定して作業の改善や効率化を図ることが可能になり、工場の生産性向上につながることを確認できたという。

今回、大阪製作所内に設置した高精細カメラ4台から、作業映像を産業用5G端末およびソフトバンクの5Gネットワーク経由で住友電工のデータセンターに伝送した。当該映像をAIが解析し、作業の分類や時刻との照合などを行った上で、住友電工独自のソフトウエア(日々の目標時間と実作業時間の分析と自動グラフ化にも対応)が個々の作業のタイムチャートを生成することで、作業を自動的かつリアルタイムに見える化できた。

上記端末は、工場内に新たなネットワークを構築する必要がなく、ネットワーク整備にかかる負担を軽減することができるという。実験の結果、人的リソースを大幅に削減。作業者は目標時間と実作業時間の差分を確認し、効率性を意識して作業に取り組めた。作業時間のグラフをクリックして当日の作業映像を再生し、遅延発生箇所を特定して原因を分析できるため、速やかに作業の改善や効率化を図ることができたという。

住友電工は産業用5G端末の製品化とともに、5Gの活用検討を進めていく。一方、ソフトバンクは22年度をめどに法人向け「プライベート5G」を提供する予定だ。