農業DX、グローバル展開する情報通信技術プラットフォームを強化

センサーや衛星写真を活用して、生育状況や圃場環境を可視化する。AI(人工知能)を活用して営農アドバイスも行う。水や肥料の最適な量と投入時期を示せる農業ICTプラットフォームを用いれば、収穫量の安定化と栽培コストの低減が望めて、地球環境に優しい農業を実践できる。

熟練者の営農ノウハウの形式知化により、技術継承や優秀な熟練栽培者の営農の再現が可能となり、産地の拡大や、新規就農者の営農支援を行える。そのプラットフォームでは、一次加工品メーカーの管理者や生産法人のオーナーは、自社圃場や契約農家の圃場におけるトマトの生育状況を網羅的に把握できるため、客観的なデータに基づいた全体最適な収穫調整が可能となり、生産性の向上が図れるという。

NECは、カゴメと共同で事業展開をしている農業ICTプラットフォーム「CropScope」を強化した。営農改善に役立つ各種機能を追加するとともに、これまでと異なる環境下での検証において安定した収穫量を達成した。これにより、北半球から南半球まで、新規契約先の拡大を図り、営農現場の課題解決を通じた持続可能な農業の実現に貢献する。

両社は昨年KAGOME Australiaとともに同プラットフォームの実証試験を実施。豪州は、従来それを適用してきたポルトガルとは土壌や品種、灌漑設備など栽培条件が異なるため、地下灌漑での土壌水分シミュレーションやオーストラリアでの熟練栽培者のデータを学習し、分析手法などの強化を行った。AI営農アドバイスサービスの汎用性を高めた「CropScope」ではまた、これを活用する世界各国の大規模生産現場の声をもとに――

蓄積データを活用し営農改善や振り返りに生かせる圃場間比較分析機能などを搭載し、アプリの利便性を向上した。両社は今後、欧州や米州などのトマト一次加工品メーカーやトマト生産法人に向けた提案を強化し、同事業の成長を加速していく考えだ。