コロナワクチン保管用の冷凍庫内をIoT監視

コロナ禍を終息させる。鍵はワクチンにあり、接種後に伝令リボ核酸が翻訳されて抗原タンパク質を産生――抗原特異的免疫応答を起こす「mRNAワクチン」2種と、遺伝子組換えによる無害化/弱毒化体を用いる「ウイルスベクターワクチン」1種が日本で承認され、前者は集団接種で使われている。

mRNAワクチンは特に温度管理が難しい。厚労省資料『新型コロナウイルスワクチンの接種体制の構築について』の3.ワクチンの流通・保管項目には、「ワクチン保管用に、マイナス75℃のディープフリーザー、マイナス20℃のディープフリーザーを確保」とうたわれている。今月3日、ザインエレクトロニクス傘下のキャセイ・トライテックは、新型コロナワクチン保管用冷凍庫内の温度を監視できる「IoT温度監視システム」をサンプル出荷したことを発表。

同システムにより新型コロナワクチンの温度管理の不備を早期発見してワクチンの廃棄処分を無くすとともに、管理者の心理的負担を軽減し、皆の安心・安全に貢献したいという。同社は、千葉県いすみ市でICTを活用し地域課題解決に取り組む地域商社SOTOBO ISUMIと連携し、新型コロナワクチン保管状況をいつでも安心・安全に確認できるよう、超低温冷凍庫(-75℃対応)向けIoT温度監視システムのサンプル機を開発した。

当該機は、国保国吉病院組合いすみ医療センターの協力のもと、同センター内にある新型コロナワクチン保管用超低温冷凍庫に設置。現在、ワクチンが適切な保管温度で維持出来ているかを監視しているという。

同社グループは、今回のワクチン保管用冷凍庫向けIoT温度監視システムを、新型コロナウィルスのワクチン保管温度監視ソリューションとして提案するとともに、このシステムをベースに他のセンサを組み合わせた新しいしくみについて、様々な企業と連携しつつ、社会課題解決に向けた付加価値を積極的に提供していく考えだ。