これまでのマルチコプター型ドローンではしかし、被災家屋がより一層広範囲に及んだ際に、撮影に長時間を要すことが課題になっていたという。三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は今月、エアロセンスと共同で、固定翼ドローンとAIを活用した水災損害調査を開始した。従来型ドローンよりも長時間の飛行・撮影(最大40分/フライト)が可能な垂直離着型固定翼ドローン「エアロボウイング」を導入し、損害調査体制のさらなる強化を図るという。
高精度に座標(緯度・経度)を特定できるドローンで上空から水災被害地域を撮影し、その撮影画像をもとに正確な座標・標高を保有する高精度な地表の3Dモデルを作成する。さらに、アリスマー社のAI流体解析アルゴリズム(参考:流体予測AIシステム)を活用してデータ分析を行うことによって、浸水高を算出する。水災損害調査では、立会調査なしに損害額を算出することが可能となり、早いうちに顧客へ保険金を支払える。
地図上で水量や水の流れを解析し、浸水状況の正確なシミュレーションを行う上記AI技術と、ドローンの撮像をもとにした地表3Dモデルを用いて調査する。そこに今回、1フライトで長く稼働できるエアロボウイングを活用することで、より短期間に被災地域の撮影が完了する。例えば、極めて広範囲な被災が見込まれる荒川が氾濫した場合、従来型ドローンでの撮影なら1か月以上要するだろうけれど――
数日程度で撮影を終えることができ、より迅速な保険金支払いが可能になるという。3社はデジタルトランスフォーメーションを加速し、「一日も早い保険金支払い」に努めていく構えだ。