消化器内視鏡映像を4Kリアルタイム伝送、5G時代に向けて

5Gの商用サービスが始まった。日本で、新型コロナウイルス感染症流行に伴う負担が各地の医療機関で増しているなか、5Gのエリア展開を見据え、先進技術を活用して医療現場を支援するという。

NTTドコモは昨秋「5Gを活用した映像伝送ソリューションの医療機関向けモニタープログラム」を開始。そして今年3月30日、神戸大学香川大学高知赤十字病院オリンパスはドコモとともに、モバイルを活用した遠隔医療支援を目的とし、高精細映像伝送システムを用いた4K映像による消化器内視鏡映像のリアルタイム伝送の実証実験に成功した。

オリンパス製内視鏡システム「EVIS X1」を上記プログラムで使用している映像伝送システム「LiveU」に接続し、高知赤十字病院消化器内科内視鏡室で行われた内視鏡検査の4K映像を、4G×6回線(5G相当)の携帯電話網を使い、神戸大学医学部附属病院国際がん医療・研究センター(ICCRC)香川大学医学部附属病院、高知赤十字病院カンファレンスルームへ伝送し、模擬トレーニングを実施した。

内視鏡映像に加え、内視鏡画像に合成した手技を行う医師の手元の映像も遅延なく伝送することにも成功した。実験結果は、内視鏡先進医療機関同士が連携しナレッジを共有することで、一層充実した医療を展開できることを意味している。このような先進技術を医療現場に展開することによって、コロナ禍においても質の高い医療を全国展開する、その礎になることも期待されるという。

3医療機関と2社は、消化器内視鏡を中心とした高精細医用映像機器と、閉域クラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド®」を活用し、セキュアな環境での医用映像の共有・蓄積による的確な医療提供の実現、さらに消化器内視鏡診断・治療における遠隔医療への応用に向けた検討を進め、次世代の医療向けソリューションの創出、新規ビジネスモデルの可能性を探っていく構えだ。