スマート農業DX、イチゴの生育特徴量を計測する技術を実証

デジタルトランスフォーメーション(DX)が日本各地の各種産業や社会のしくみで検討されている。今日、イチゴの中・大規模栽培において、雇用労働力を有効活用することで高収益を維持しながら、全量共同選果による販売の実現と生産者の負担軽減を進めている先進産地――

熊本県阿蘇市はさらなるイチゴ生産拡大と収益力向上を図るため、スマート生産技術と共同選果施設を活用。生産から出荷までの多収省力型一貫体系をめざしているという。キャノンITSは、農研機構九州沖縄農業研究センターが代表を務めた令和元年度スマート農業実証プロジェクトの「阿蘇イチゴスマート農業実証コンソーシアム」における実験結果を5月26日に発表した。

同センター久留米事業所で今年1月18日~2月8日、イチゴ品種「恋みのり」「さがほのか」の生育状況をスマートフォンにて撮影し、解析に適した高精細かつ定点の画像データを収集した。同社は、イチゴ生育画像解析システムを使って得られたデータを「VisualBrain」経由でクラウドに蓄積し、遠隔から現地の映像や解析結果を閲覧できる環境を構築した。

スマートフォンでの簡易な生育解析を実証し、2品種の花数、果実熟度、葉面積の生育特徴量の自動計測精度は90%以上を達成した。これにより、「多くの人が普段から持っているスマホのカメラ機能を使って、初期費用を抑えた生育解析が可能」、「スマホは高精細画像の撮影ができるため、高精度な生育解析が可能」といった2点が確認できたという。

同社は、令和3年度スマート農業実証プロジェクトにも参画。「阿蘇イチゴ輸出スマート農業実証コンソーシアム(課題番号:21451798)」では、今回の経験を生かしながら、上記システムおよびVisualBrainを活用したスマホによる生育計測~収量予測、農業熟練者による映像共有を活用した遠隔指導や農作物のリモート審査の実証実験を行う。