ウイルス感染の広がりを下水道にてリアルタイムに監視する

世界保健機関(WHO)によりCOVID-19のパンデミックが宣言された。地球上には、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)の他にも、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、デングウイルス等の脅威がある。そのため、日本においても昨今、感染症流行の予測や早期対応が求められている。

下水処理区域内の住民の糞尿が排出される都市下水には、それらの対応を実現するための大変有用な疫学情報が含まれている。都市下水には医療機関を受診する患者のみならず、症状が出ていない感染者からの糞尿も含まれるので、我が国の都市部のように、下水道システムが発達した社会であれば、得られた下水水質は疫学情報として効果的に活用することが可能だという。

東北大学工学研究科の研究グループ北海道大学仙台市日水コンユニアデックス三機工業明電舎の7者は今月19日、共同して、都市下水に含まれる疫学情報をリアルタイムに取り出し、下水集水域コミュニティの健康情報として活用し、同時に下水処理の運転制御に役立てるシステム開発の研究を開始した。同システムを確立して、多種多様な感染症に対して適応できる社会を実現する――。

今回の共同研究では、信頼性の高い感染症関連物質モニタリング技術を下水道インフラに設置し、そのモニタリング結果から感染症罹患者数と下水中病原体濃度をリアルタイムに推定し、その情報を社会に向けて発信することでコミュニティ全体が感染予防に動くように働きかける。と同時に、消毒処理強度を自動制御して安全な下水処理水を得る、新たな社会システムの構築を目指す。

医療機関では把握しきれない無症状者を含む感染者の疫学情報をキャッチできる。それは、下水道システムが発達した我が国ならではの画期的な仕組みになることが期待される。同研究は国土交通省の「令和3年度下水道応用研究」に採択されたものであり、同省のサポートにより行われるという。