交通事故の形態および過失割合をドラレコデータとAIで判定

自動車事故ゼロ社会は理想である。現実には今もどこかで起こっている、事故の示談交渉において、客観的情報の不足は正確な事故状況把握を難しくする。事案解決の長期化・難化が長年課題であったし、当事者が自ら状況説明や証明を行うのは精神的な負担となるところに、ドラレコが登場した。

近年、ドライブレコーダーの普及により、事故状況が正確に記録できるようになってきた一方、映像から事故状況を把握するのにはスキルを持った人材と時間が必要となることが、損害保険会社において新たな課題になっているという。

セイコーソリューションズは、市販ドラレコの録画データから、AIによる分析で簡易な事故形態の判定と基本過失割合の算出ができる「事故状況推定システム」を開発した。人工知能やテレマティクス、データベース(DB)照会などのシステム事業で培ったノウハウを反映した同システムのサービスを、今月19日より自動車保険を取り扱う損害保険会社、共済向けに提供する。

「事故状況推定システム」は、ウタゴエと共同開発したAI画像処理技術を用い、ドライブレコーダーの録画データから「交差点形態」「自車・相手車の進行方向」「信号機の有無・色」を識別・抽出し、過去の判決事例をもとに作成したDBとパターンマッチングすることで、事故形態と基本過失割合、事故状況図を出力する。これにより、誰でも客観的かつスピーディーに事故状況の判定が可能になる。

さらに、事故状況の理解を助ける、3D化した主観・俯瞰視点のシミュレータ映像をダウンロードできる。AI判定によって抽出された事故状況は手入力で補正もでき、判定が間違っていた場合は修正可能。ドラレコ映像がない場合にも、条件を手入力することでDBとのマッチングを活用できるという。同社は、事故対応業務の一層の簡略化、事案の迅速な解決に向けてサービスアップを図り、安心・快適なクルマ社会作りに貢献していく構えだ。