電力設備の保全業務をDX、クラウドERPで高度化する

生産年齢人口が減少していくこの国で、設備の複雑化・高経年化に対応する。電力業界や装置産業においては、保全業務の人材確保やノウハウ継承が難しくなっていく状況下でも、安全を最優先とした業務の効率化、保全コストの低減、環境適合や各種規制・制度への対処などが求められている。

設備の安定稼働と働き方改革を両立し、様々な課題を解決していくためには、設備設計から運用、保全までの設備管理業務のPDCAサイクルを通してバランスの良いマネジメントを行うことが必要だという。東芝デジタルソリューションズは、四国計測工業の電力設備保全に関する知見を活かし、SAPジャパンの「SAP S/4HANA®」をベースとした電力業界/装置産業向けEAM(設備資産管理)ソリューションのテンプレート開発を12日に開始した。

四国電力伊方発電所において実現したSAP®EAMソリューションをベースとしたシステムの運用を担う、四国計測工業は、米国原子力発電所のベストプラクティスをもとに、また日本の厳しい原子力規制基準に準拠した業務品質、ドキュメント品質へ対応することで、原子力設備保全の知見を蓄積してきた。そこで今回東芝デジタルソリューションズが開発するテンプレートは――

"国内の設備保全ベストプラクティス(四国電力モデル)をベースとした業務改革の実現"、"パッケージによる導入リードタイムの短縮"、"最新版SAP® EAM(SAP S/4HANA®)によるDXの実現"といった特長を備える。EAMソリューションテンプレートは、国内の他の電力会社の原子力部門はもちろん、原子力以外の保全業務にも適用が可能な見込みで、今秋からの提供を予定しているという。

東芝デジタルソリューションズは、重要な社会インフラのひとつである電力設備の保全ノウハウの標準化により、多様な業種における設備保全業務の課題解決、高度化、デジタル化に貢献していく構えだ。