6種のアクセラレータをワンチップに搭載、エッジAI開発を加速する

IoT社会の進展とともに、膨大なデータから新たな価値を創造するための鍵となるAIが注目されている。現在、AI技術の根幹をなす半導体集積回路は微細化が物理的な限界に近づいていて、エネルギー消費が増大し続けることも至極問題となっている。

省エネルギーで効率的にAIを動作させる半導体チップの開発が必要不可欠であり、世界的にも競争が激化している。日本では多くの企業が名乗りを上げている、AIチップの開発には、半導体を設計するための高度な技術が求められる。高額な回路設計ツールや検証装置などをそろえることも要求される。これらは、スタートアップ企業などが自らのアイデアをチップ化に結びつける大きな壁になっているという。

NEDOは、AIチップ開発加速のためのイノベーション推進事業において、産総研東京大学と共同で、半導体設計に必要な共通基盤技術の開発や回路設計ツール用のEDAツールや標準IPコアなどからなる設計環境「AIチップ設計拠点(AIDC)」を武田先端知ビルに整備中であり、その一環として、中小・ベンチャー企業が独自開発するAIアクセラレータ向け評価プラットフォームの構築を進めている。

そしてこのたび、アクセルDMPプリバテックLeapMindロジック・リサーチの協力を得て、6種類の独自AIアクセラレータを搭載したCMOS28nmプロセスを用いる評価チップ(AI-One)の設計を完了し、外部の製造会社にて試作を開始した。評価プラットフォームと評価チップは「LSIとシステムのワークショップ2021」にて産総研の講演で紹介される。

同事業では上記AI-Oneを用いて、各アクセラレータの設計スペックをもとに、9月頃に実チップを搭載したボードで比較評価を行い、実環境での検証を進める。そのフィードバックを活用して、さらに使いやすいエッジ向けAIチップの評価プラットフォームを確立していく考えだ。