空の安全に向けて、AIで小さな噴火も検知する

火山活動に伴う噴煙は、視程の悪化や機体やエンジンの損傷など、航空機のフライトに危険をもたす。2010年にはアイスランドの氷河エイヤフィヤトラヨークトルで大規模な噴火が発生――これにより、約30ヶ国の空港が閉鎖され、多数の欠航を余儀なくされるなど大きな影響が出た。

上記事象をきっかけに、航空市場向けに独自の火山灰拡散予測(ACOS)サービスの提供を始めた。同サービスは世界中の火山を監視し、噴火した際にいち早く独自の拡散予測を提供するものであり、火山がどこで噴火したか、噴煙はどのように流れていくのか、その規模および到達時間などについて、まっさきに発信している。現在、活火山の多い日本や東南アジア域を運航している航空会社を中心にこれを提供しているという。

ウェザーニューズは今月26日、同社独自のAI画像解析技術を用いて火山の噴火と噴煙を検知する「AI火山灰検知システム」の運用を開始した。このシステムは、衛星画像を用いて雲の切れ間からAIにより噴煙(火山灰雲)をリアルタイムに検知する世界初のしくみであり、同社地象センターが航空会社向けに行っている火山灰拡散予測に導入することで、これまでは難しかった小規模な噴火も検知することが可能になるという。

「AI火山灰検知システム」のAI画像解析技術には、雲と火山灰雲における形状、テクスチャ(模様)などの微妙な違いを見分けるモデリングが取り入れられている。今後このシステムの評価をさらに進め、小規模から大規模な噴火の噴煙検知について、精度向上に努めていく。衛星画像だけでなく、独自に火山近傍に設置しているライブカメラ画像からも異常を検知し、噴煙の拡散予測などもリアルタイムに提供することを目指すという。

同社は、公的機関からの情報を頼りに火山近傍を運航している航空会社へ、いっそう迅速に噴火情報を提供することで、航空業界のさらなる安全に寄与していく構えだ。