脊椎手術の計画作成~術後のシミュレーションまでをロボットが支援

脊椎由来の痛みの改善と、早期離床および社会生活への復帰を目的としている。変性あるいは変形した脊椎を専用の材料で固定し、脊椎の安定性を高める手術――脊椎固定術は、腰部脊柱管狭窄症や腰椎変性すべり症などの治療として行われている。

日本国内では年間約6万例以上の脊椎固定術が実施されていて、そのうち約8割が60歳以上の患者(厚労省第4回NDBオープンデータ第2部【データ編】K手術「款別性年齢別算定回数」より推定)であり、今後高齢者の人口増加に伴い、脊椎固定術のニーズも増えていくことが予想されるという。日本メドトロニックは、脊椎固定術の治療に併用される「Mazor X ロボットシステム」の製造販売承認を取得したことを今月21日に公表した。

医薬品医療機器総合機構Webに手術用ロボットナビゲーションユニットとして登録されている。同システムは、手術計画の作成から術後のシミュレーションまでを一貫して提供する、統合された仕組みである。サージカルアームとナビゲーション技術の融合により、より高い精度での手術手技の実現と患者へのより良いアウトカム(臨床上の成果)をもたらすことを目指してるという。

Mazor X ロボットシステムは、術前の患部画像データから構築した3D画像上で手術計画を作成し、同計画に基づいたロボットアームの動作により手術器具を誘導するとともに、3D画像上にリアルタイムで手術器具の位置情報を表示する。治療計画の作成を支援する脊椎の矯正シミュレーションもソフトウェアで行える。手術の計画から実施、確認までを一つの統合されたシステム上で提供することにより、より効率的な手術を支援する。

術者によらず安定的に手術を施行したり、難度の高い手術を人の手よりも精密に行ったりできる点も、手術支援ロボットのメリットと考えられている。世界では、累計5万例以上の脊椎固定術で同システムが使用されているという。