農業DX、牛の行動モニタリングの有用性がデンマークでも実証された

農業のデジタル化を加速するその技術は、牛に装着した専用センサが、採食、飲水、起立、横臥、歩行、反芻などの行動データを24時間収集し続ける。膨大なデータをAIで解析して、発情兆候や健康状態を検知し、労力と時間のかかる農場管理をサポートするという。

デザミスNTTテクノクロスは、デンマーク王国の農業研究機関SEGESと共同で19年12月から実施していた牛の行動モニタリングサービス「U-motion®」の実証実験FarmTestを20年末に完了。同機関からU-motionが牛の発情発見および妊娠牛獲得に有用であることがレポートされたと、今月21日に発表した。

NTTグループのAI「corevo®」構成技術の一つを用いた同サービスによって、3牧場のホルスタイン計655頭の行動データから発情兆候を検知する発情アラートの精度は80%以上(基準は75%)、妊娠鑑定で受胎と判定された牛に対する発情アラートの精度は96.5%(基準は90%)を達成した。これにより、U-motionは妊娠牛の獲得に有用であり、発情の牛を発見し人工授精を行うことに役立つと結論づけられた。

実験に参加した農家からは、「発情アラートは非常に精度が高く、流産を見つけることもできた」「毎日朝夕2回U-motionを確認することで、発情期の見逃しを防ぐことができた」「アラート機能だけではなく、発情期をグラフで可視化する機能は人工授精のタイミングに非常に役立った」「急性のルーメンアシドーシス(第一胃内で乳酸等の産出量が増加しpHが低下した状態)や下痢なども疾病アラート機能により見つけられた」といった回答が得られた。

今回のFarmTestでU-motionの有用性がデンマークで認識され、SEGESや農家からも肯定的なコメントが多数寄せられた。両社はこれから、欧州を筆頭に他の地域へもU-motion®の海外事業展開を進める予定だ。