AIソリューションの品質と信頼性を高めるアドバイザリーボード発足

各種産業、医療・ヘルスケア、社会インフラや教育分野にも人工知能(AI)が浸透し始めている。昨今、その用途や効果が注目されたり高く評価されたり、AI脅威論も根強い一方で、ニューラルネットワークとは似てもいない単なる制御回路をAIと呼ぶ風潮も生じている――。

人間とAIが共生する「より豊かで調和のとれた社会」の実現に貢献するため、NTTデータは19年5月に「NTTデータグループAI指針」を策定。翌年6月には顧客が安心してAIシステムを利用できるよう「AI開発プロセス」を体系的に整理し、AI案件への適用を開始した。その後も「AI品質アセスメントサービス」の試行など、AIガバナンスに関する取り組みを拡大し継続してきた。

同社は今月19日、AIの研究、開発、運用、利活用に関わるガバナンスを強化すると発表。社会デザイン・ソフトウェア工学/法務・倫理/レジリエンス・SDGsなどの社外有識者からなる「AIアドバイザリーボード」を設置した。AI利活用に関する技術動向、法令・規制、市民社会の認識について、同ボードメンバーと同社のAIプロジェクトメンバーが議論をし、その結果をAIガバナンスの具体的な手段に取り入れていく。

AIアドバイザリーボードでは、AIに関与するNTTデータ幹部層との意見交換を年1回、AIに関与する実務層向けの勉強会を年4回実施する。実務にも明るい社外有識者と、最前線のメンバーとが実際のプロジェクトにおけるユースケースを用いた議論をすることで、より有効性の高い対策へ落とし込むことができると考えている。

その実施レポートは5月より「AIサービス」ポータルサイトに掲載予定だという。同社は、今回の取り組みにより、多様な観点でAIプロジェクトにおける問題発生を抑制するとともに、提供するAIソリューションの品質および信頼性を向上し、顧客が安心してAIを利活用できる環境を整備していく構えだ。