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気象情報システム基盤上で"アメダス""アデス"などを運用
もと中央気象台といった、気象庁は、アメダス(地域気象観測システム)、アデス(気象情報伝送処理システム)、潮位データ総合処理システムなど、業務ごとに整備した仕組みを、大規模災害に備え東西2局に分散配置のうえ運用――従来型のIT(情報技術)インフラでは、運用コストの増大、運用管理の複雑化、新システム開発の長期化や最新技術適用の遅れといった課題が生じていた。
そこで昨年3月、多様な業務システムを集約統合できるIT仮想化インフラ、「気象庁情報システム基盤」を導入し、ここに10月より各業務システムを刷新しながら順次移行。これらを手掛けた富士通は、「アメダス」「アデス」「潮位データ総合処理システム」などの大規模システムについても全面移行を終え、今年3月より運用が開始されたことを4月13日に公表した。
新基盤上の「アメダス」は、近ごろの災害局地化・激甚化に伴う気象観測データ量増に合わせて柔軟にシステム資源を追加でき、迅速かつ的確な防災気象情報の発表に役立つ。「アデス」は、他システムや気象衛星等から収集するデータの増大、スパコンの性能向上によって求められるデータ処理能力を大幅アップ、逐一更新される気象情報を的確かつ機動的に配信することを可能にする。
さらに「潮位データ総合処理システム」は、地震や津波、台風などによる高潮の警報や注意報に必要不可欠なデータの安全・リアルタイム配信に一層寄与するという。気象庁は、運用負荷やコストの削減、システム開発速度の向上を実現し、防災・減災に向けたデータ利活用の加速、気象予測の精度向上など、気象業務をより強化していく構えだ。