上下水道の運用保全業務をいっそうデジタルトランスフォーメーション

プラントの老朽化に伴う維持・更新費用の増加、人口減に起因する事業収入の減少などにより、運営のさらなる効率化が求められている。国内の上下水道事業では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、現場技術者の安全を確保しつつ水の安定供給を行うことが急務となっている。

技能・技術伝承という日本全体での課題に加え、新たなリスクも抱えることとなった。"水のプラント"ではこれまで以上に、先進的デジタル技術を活用し、人や場所に依存しない高効率で安定的な運用、および保全業務への変革が求められているという。日立製作所は、上下水道事業向けクラウドサービス「O&M支援デジタルソリューション」に、AIを活用した設備診断、水質予測、運転支援の新機能を拡充。これらを今月12日より提供する。

社会インフラ業務の可視化、省力化、効率化やノウハウの継承などを支援するため18年9月から提供している同サービスに今回、ポンプやブロワなどの設備の状態を診断することでコンディションベースドメンテナンスを可能とする「設備状態診断機能」、原水水質を予測し、薬品注入量などの適正化を支援する「水質予測機能」、学習した運転員のノウハウ・判断に基づいて将来の需要予測や運転計画を提案する「プラント運転支援機能」を追加した。

さらに、クラウドに集約した監視・点検データを組み合わせて運転管理や保全に有用な指標を算出・表示する「データ見える化機能」もラインアップに加え、データ解析系サービスを拡充した。今年中に「残塩管理機能」も提供開始予定である。同社は、生活に欠かせない水インフラの運用・保全業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速し、高効率・安定運営とノウハウ継承を支援する。

日立は今後、上記追加機能を含めたクラウドサービスを、先進的なデジタル技術を活用した「Lumada」ソリューションとして、上下水道事業体などに提供していく構えだ。