車いす利用者や要支援者を検知する自動ドアを医療機関に

「患者の安全を第一とする高度な医療安全管理体制で、良質で心の通い合う医療を提供する」ことを基本方針の1つに掲げ、地域の基幹病院また特定機能病院として、安全な医療を推進している。そのメインエントランスは、病院前のバス停から、まとまった数の人がやってくる――

来院者が通行するうえ、新型コロナウイルス感染症対策として体表温測定を実施しているため、エントランスの混雑と来院者の安全対策に課題を抱えていたという。聖マリアンナ医科大学病院は、NECソリューションイノベータフルテック共立アイコムとともに、AIによる画像解析技術とデジタルサイネージを活用し、より高い安全性に配慮した自動ドアの実証実験を今月19日~6月30日、同病院にて実施する。

病院エントランスに、カメラとデジタルサイネージ付き自動ドアを設置し、映像から来院者の様態 (車いすの有無)を検知して、ドアの開閉スピード・時間を制御する。車いす利用者が通る際には、デジタルサイネージを用いて、相対する来院者へ注意喚起する。これまで掲示に頼っていた来院者への告知やバスの時刻表など、各種情報もデジタルサイネージにて配信し、来院者の利便性向上を図る。

AI画像分析によって入退場者数と院内の混雑状況を把握し、それを換気作業の判断に活用する。混雑状況・予測の公開などにも取り組んでいく。実証実験において、画像データはAIが通行人の態様認識を行った直後に破棄される。個人を特定可能な情報は保存されないという。

NECソリューションイノベータとフルテックは来院者の安全性・利便性をより高めるために、車いすだけでなく、ベビーカーや松葉づえを使用中の人などの様態も判別できるよう、製品化に向けた機能強化を図っていく。そして4者は、今回の実証実験を起点として、移動において助けが必要となる人を含めすべての人々が安全・安心に通行できるエントランスを実現していく構えだ。