国内ERP市場の年平均成長率は9.5%、SaaS型が急拡大

あらゆる経営資源を統合管理して効率化するためのしくみであり概念でもある、ERP(企業資源計画)は、かつてパッケージソフト一辺倒であったが、企業IT(情報技術)システムの形態を所有から利用へと変えるクラウドの隆盛により、近ごろは導入の容易なSaaS型が主流になっている。

今月8日、ITRは、国内のERPの提供形態別とパッケージ製品の運用形態別での市場規模推移および予測を発表した。ERP市場の19年度売上金額は1,128億円、既存ユーザーのリニューアルやシステム拡張が堅調に進んだことを背景として前年度比12.4%増であった。20年度はコロナ禍による営業活動の低下や案件の先延ばしなどが要因となり、5.8%増と近年ではやや低い伸びが予想されるという。

老朽化したERPシステムの再構築需要が見込まれため、同市場のCAGR(19~24年度)は9.5%と予測。パッケージとSaaSの提供形態別で比較すると、19年度~20年度にパッケージ市場はほぼ横ばいで推移しているのに対し、SaaS市場は急拡大している。主要ベンダーが新規案件ではSaaSでの販売を推進していて、既存ユーザーにもSaaSへの移行を薦めている。

そのためパッケージ市場の19~24年平均成長率はー0.1%、SaaS市場は同24.0%の高成長率を示すだろう。パッケージ市場をユーザーの運用形態別に見ると、18年度~20年度においてオンプレミスはマイナス成長が続いているのに、抵抗感が薄れ基幹システムでもそれを導入する企業が増えているIaaSは、20%前後の伸びを維持していて、21年度以降もこの傾向が続くと予想される。

各ベンダーが自社のIaaSとERPパッケージのセット販売を推進していることもその大きな要因になっているという。国内48ベンダーを対象とした調査結果の詳細は『ITR Market View:ERP市場2021』にて確認できる。