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座礁リスクを自動で検知し、航路逸脱時にもアラート送出
海運業界において、浅瀬の航行判断は船舶に任せられていて、船員の業務負担増によるヒューマンエラーの発生が事故の一因だと指摘されている。ゆえに、船舶の動静や航海リスクを監視する陸上の運航管理者が座礁リスクを把握する、そうした声があがってきているが、今のところ陸上から船舶の座礁リスクを把握するシステムは存在しない。多くの船舶からリスクのある船をリアルタイムに見つけ出すことは難しく、課題になっているという。
「船乗りの命を守りたい」海の気象台として1970年代に事業をスタートした。ウェザーニューズは今月5日、船舶の座礁事故対策を支援するため、海運業界向けに開発した「NARサービス」を5月から提供する予定だと発表した。同サービスは、航路データをベースに座礁の危険性を自動検知して、陸上の運航管理者や関係各社に通知する世界初のしくみとなる。
浅瀬や漁船混雑エリアなど危険性の高い区域へ接近または航行した場合、もしくは計画航路から逸脱した場合に、自動でアラート通知する。国内外の外航海運大手船社を中心に、船主・船舶管理会社での採用が見込まれている(参考:PDF資料p.22~23)。今後は、台風接近時の強風による走錨リスクや、荒天時の船体動揺リスクなどの通知も追加し、様々な航海リスクへの対策支援にまで拡張するという。
同社は2022年までに、海運における温室効果ガスの排出削減などに寄与する各種「環境運航支援サービス」を順次リリースしていく。座礁対策の支援は海洋環境の保護につながることから、今回のNARサービスをその第一弾と位置付けている。