5G×8Kカメラ搭載ドローン、災害時の広域状況把握へ

東日本大震災の発生以来、デジタル技術やロボティクス、小型無人航空機ドローンなど、先進的なテクノロジーを防災・減災に生かす研究開発および取り組みが各地で行われている――。現在、ドローンを利用した空撮は2K程度の画質で録画し、着陸後に内容を確認するものが一般的だという。

シャープは、NTTドコモと連携し、災害時の広域監視利用を想定した5Gによる8K高精細映像のリアルタイム伝送を達成した。3月8日~10日と12日、神奈川県横須賀市の「横須賀市ドローンフィールド」内に構築した実験用5Gネットワーク環境において、ドローンに搭載された8Kカメラで撮影した地上の映像を、上空約60mから5Gを介して地上の8K対応テレビ(型番:8T-C60AW1)にリアルタイム配信した。

今回、映像配信に次世代技術のSRT(Secure Reliable Transport)を用いることで、途切れることのない安定した映像を表示することができた。地上に置いた市松模様(8cm角)のボードを、上空約60mと約40mの2地点から8Kと4Kで撮影。映像を拡大して比較・分析したところ、8Kは、4Kより高い地点からでも同程度の精細度で撮影でき、さらに一度の撮影でより広範なデータを取得できることが分かったという。

実証実験は、同市および横須賀テレコムリサーチパークが推進する"ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ"の一環として実施したものであり、高速大容量などを特徴とする5Gによって、2Kの16倍の情報量を持つ8K映像データをリアルタイムに送れることが確認された。

そのしくみは、発災時における被災状況の迅速かつ広範囲な把握など、災害対策や防災用途での活用が期待できるという。シャープは今後、5Gを活用した8K映像データ伝送の実用化に向け、様々なシーンにおける実証実験を推進する。そうして、社会課題の解決に貢献していくという。