機微を学習するAIによる特許調査が一層パワフルに

知的財産権が企業のみならず、国の盛衰をも左右する。世界において、昨年のPCT国際特許出願件数は中国が1位、米国が2位で共に伸びている一方、3位の日本は前年よりも減少している。発明の権利化は、アインシュタインだって経験していた。

特許事務所に勤めながら相対性理論を書きあげた彼は、後年、そこで人にわかる技術内容の書き方を学んだと術懐している。日本でいう「明細書」(特許庁PDF)のことだろう。出願人は、同書に記載された複数の発明の中から権利の取得を目指す発明を選択して「特許請求の範囲」に【請求項】を記載する。それより前にすべきは、先行技術調査(工業所有権情報・研修館PDF)である。

そこで今月1日、FRONTEOは、特許調査支援システム「Patent Explorer 19」の新版"Ver.1.2"を発表した。同システムは人工知能「KIBIT」を活用し、発明の新規性・進歩性を否定する根拠となる可能性がある特許文献を迅速に抽出――特許調査を効率化する。調査プロセスの中でも特に業務負荷が高いとされる検索式の策定と本検索、およびスクリーニングで効果を発揮し、現在すでに複数の企業にて特許調査をサポートしている。

旧版は単独の解析軸で調査対象と関連の高い順に公報をリストアップする。調査対象によっては、現状のスコア表示だけでは確認すべき範囲が明確でない場合もあった。ゆえに今回、散布図を使用した解析を導入した。新版では、元来このシステムが強みとしていた公報段落ごとの解析をさらに進化させ、請求項×明細書など、二軸での解析結果を散布図に表現することにより、視覚的に解析結果全体の傾向を捉えられるようになった。

これにより、二軸どちらのスコアも高い集団と、どちらか片方のみのスコアが高い集団が一目瞭然。リストでは埋もれていた公報も散布図上に表示されるため、検索者が参照すべき公報に一層効率的にたどりつけるという。