電波干渉を回避、都市部でドローンを安全に飛行させる

防災、インフラの維持管理、物流などに用いるドローンが普及しつつある。日本でも昨今、それら小型無人機の用途を広げて、人々の暮らしを一層便利で豊かにするスマートシティを実現するためにも、都市部上空などでの安全な目視外飛行を達成する研究開発が行われている。

空の産業革命に向けた取り組みが官民一体となって進められている(官邸PDF資料)。ドローンが利用する電波の同一帯域/隣接帯域にはさまざまな電波利用が混在していて、都市部等においては混信・干渉により、安全な飛行ができない可能性がある。そこで総務省は2019年に電波資源拡大のための研究課題として「無人航空機の目視外飛行における周波数の有効利用技術の研究開発」を公募――

その技術課題ア「小型無人航空機における他業務の電波等からの混信・干渉回避のための電波利用技術の研究開発」の一環として、OKI室蘭工業大学日立国際電気は今年1月21日~2月26日、都市部でのドローンの安全飛行を実現するための電波干渉回避技術の実証実験を共同で実施した。

OKI ITSテストコースにて、「インフラ構造物(橋りょうなど)の維持管理にドローンを利用している」想定で、OKIが開発した"電波環境の動的空間検知技術"を用いた無線装置の試作版搭載ドローンを、およそ5m上空を飛行させて検証した。結果、地上からの電波発射に対し、その到来方向を高い精度で推定できること、およびドローンの揺れなどによる姿勢変化に追従できていることも確認した。

今後、使用電波の干渉制御、機体・コントローラー間の通信ビームフォーミング技術の開発、上記無線装置の小型化・低消費電力化を進める。OKIはこれらの機能を実装した無線機をドローンに搭載し、同テストコースにおいて、ETCシステム近傍での実運用シーンを想定した実証実験などを行い、ドローンの安全飛行を実現する機器の開発と社会実装を目指していくという。