「IoT」によるデータが急激に増加中である。昨今、社会インフラや基幹ビジネスを支えるエンタープライズITシステム領域においても、日々の膨大なデータから新しい価値や変革を創出する手段として、AIの活用ニーズが急上昇している。
高い信頼性と安定性が求められるシステムにAIを導入する際には、AIの特性を考慮した作り込みや運用設計が必要となり、相当の労力とコストがかかる。たとえばPoC（概念検証）環境でその効果を見定めた上で本番環境に移行する、2段階開発となるケースが多く、本格導入にあたっては、PoCの成果物に、稼働時の安定性や信頼性を確保する機能や、既存システムとのスムーズなデータ連携を可能にする仕組みが必要となり――
開発期間が長期化する傾向にあるうえに、稼働後も、データ分布の変化や想定外のデータの出現により、学習・設計時点の想定と異なる結果を示す可能性があるため、AIの精度を維持する運用設計が求められるという。日立製作所は、顧客のミッションクリティカルなエンタープライズシステムへのAI展開を加速するため、新たにAI専用のフレームワークを開発。これを4月1日より、「Justware AIアプリケーションフレームワーク」として販売する。
それは同社が幅広い業種で手がけてきたAI導入案件でのノウハウや技術を標準化したもので、汎用テンプレート、AIの精度劣化を防ぎ維持する機能、エンタープライズ向けの共通部品群などからなり、AIを実装するアプリ（AIシステム）の高効率な開発・運用を実現する。プログラミング言語の一つPythonに対応していれば、任意のAIエンジンを利用できる。
同フレームワークは「Lumada Solution Hub」に登録し、AIシステムの受託開発案件に適用する。自社AI開発企業にも提供する。ビジネスや社会の変革ドライバーとして重要性が高まるAIの利用促進に貢献するという。