近未来社会の形をつくる建物空間のデジタルツインを実証する

現実空間のモノやサービス、仕事などをサイバー空間に再現する。「デジタルツイン」が近ごろ様々な分野で注目されているものの、当該アプリケーション構築の標準手法・プロセスは未確立で、たとえば近未来のまちづくりにそれを活用することを考えれば、「標準化」が避けて通れない道となっている。

官民が連携してスマートシティプラットフォームづくりを推進している――。昨今、建築、設計、ビルサービスなどの分野から多くの企業・団体が参画する共創環境を実現するためには、アプリケーション構築技術の標準化が急務とされているという。東大グリーンICTプロジェクト(GUTP)NTT Comは、スマートシティ実現に向けたデータ利活用の取り組みとして、今月より、ビルなどの建物空間を対象に、デジタルツインを生成する技術の実証実験を行う。

今回の実験では、建築物にかかわるBIM(ビルディング情報モデル)データや、センサーなどのIoT情報、位置情報などを提供する各種データプラットフォームを活用して、デジタルツインアプリケーション――例えばサイバー空間上から現実世界の清掃ロボットを制御するアプリを作成――構築における、技術課題やプロセスを検討するという。

GUTPでは現在、BIMをはじめとした建築物データの活用手法や、クラウドを用いたデジタルツインアプリを構築するための研究開発を行っている。一方、NTT Comは、データの収集・蓄積・活用を一元的にしてデジタルトランスフォーメーション(DX)実現を加速できる「Smart Data Platform」を提供していて、このサービスを活用したデジタルツインの社会実装を目指している。

両者はこの度の実験を踏まえ、将来に向けたオープンな共創を推進するために、技術の標準化に向けた提案を図るとともに、ユースケースの創出、さらにはさまざまな都市課題解決に向けたデータ利活用を推進していく構えだ。