ローカル5Gの産業・社会実装、スマートシティの実現に向けて

一般企業や地方公共団体が、その地域の特性や産業ニーズに応じて自ら5G無線網を構築・運用管理する。「ローカル5G」への注目度が高まっている。それは通信事業者が全国で展開する5G通信サービスとは異なり、限られたエリア内で利用できる局所的な次世代通信ネットワークである。

総務省のPDF資料にも地方版Society5.0実現に資するしくみとしてローカル5Gの整備がうたわれている。今日、局所利用できるWi-Fiは、電波の到達範囲の狭さや干渉、セキュリティ等が課題となっている。生産設備の自動制御、建設機械の遠隔制御、大規模農場の自動管理や自治体が管理する河川の遠隔監視などの実現には、災害や大規模イベント開催などの影響を受けない、通信トラブルのない独立ネットワークが求められているという。

凸版印刷TISは、ローカル5Gでの相互接続を目指し、技術連携を開始した。地域および産業ニーズに応じて地元企業や自治体などが個別に利用できる。大規模な工場内や広い場所での屋外通信など、産業用途やスマートシティの実現に向けて、その活用が期待されている。「ローカル5G基地局の設置」と「相互の技術検証」を行う。

超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続が実現可能なスタンドアロン方式のローカル5G基地局(5Gコア設備やアンテナ等で構成)を両社の拠点に設置。遮蔽物に強く電波到達性が高い"Sub6"周波数帯を予定している。ローカル5Gの検証環境を整備し、データ通信に関する技術検証を双方向で実施する。

スマートシティの実現に向けた「IoA仮想テレポーテーション」技術を用いた遠隔購買体験などについても実証を進めていくという。両社は、相互接続された拠点間でのローカル5G実証環境を21年度中に構築する予定であり、各々の技術・知見を融合し、ローカル5Gを活用した社会課題の解決とビジネスソリューションの創出をめざしていく。